76年間生きてきたが、私には本音で付き合える友だちはごく少ない

 私は76年間生きてきたが、本音で付き合える友だちはごく少ない。
 仲の良かった中学高校時代の友だちとは、別々の大学に進み、歩む道が違ってしまったこともあり、次第に疎遠になってしまった。
 私は大学を中退して、最初、就職したのは中学高校の友だちの兄が経営する会社で、1年間の現場経験を終えてから、ある得意先の営業担当を任された。
 徐々に売り上げを伸ばしたが、3年後、ある製品受注のことで、営業部長をしていた中学高校の友だちとの間で、受注するかどうかの営業方針でもめてしまい、会社を辞めてしまった。
 その中学高校時代の友だちは営業部長であり、私は単なる営業担当者ということもあり、会社ではとても友だちという気持にはなれなかった。
 根っこのどこかに高校時代は自分の方が成績は上だったという気持があったからであろうか。
 だが、私はその会社にいた5年間は、かなり優遇してもらったことを再就職して、やっと気づかされた。
 その中学高校時代の友だちの兄である社長は、私が売上を伸ばしたことを評価してくれ、基本給の他にさまざまな名目の手当てを付けてくれた上に、売り上げ増に連動した金額査定をしてくれ、通常の賞与計算した金額に上乗せしてくれていた。
 そのことを知ったのは、再就職した会社の給与明細を見たときであった。
 再就職先では、そうした手当てや査定がなされることはなくなったので、毎月の給与額は3分の2程度になっていたのである。
 再就職先で、私は三菱重工の営業担当を任され、5年後には新たな得意先として、私が前の会社で営業担当をしていた防振ゴムの会社と取引することになった。
 その会社の営業担当として、私に白羽の矢が立った。
 私は断り続けたが、結局、三菱重工とその会社の営業担当も同時にすることになった。
 2年後であったろうか、その得意先が主催する年末パーティーに社長代理で出席したとき、たまたま前の会社の社長と同じテーブルとなり、顔を合わせてしまった。
 前社長はたわいもない世間話に挟み込むようにして、突如「うちに帰ってこい」と何度も説得を試みてくる。
 営業担当として、当時の私を認めてくれていたようである。

 会社をRetireしたあと、中学高校時代で上司であった彼とは、私が市営駐車場の管理人を5年間やっていたときに、3、4度、駐車場で顔を合わせたが、互いに声を掛けることはなかった。
 おそらく相手も私も営業方針で揉めたことをいつまでも根に持っていたようで、互いに素直になれなかったと思われる。
 4年間も営業部長と営業担当という立場で仕事をしてきて、辞めてから40年以上も経ち、互いに還暦を迎えて、2、3年が経つというのに、なぜか声を掛けることをしなかった。今なら気楽に声を掛けているはずなのに。
 中学高校時代の友だちだったことが、むしろ自分の気持に素直になれなかったのがその理由にようである。

 再就職した会社でも本音で話し合える友だちはできなかった。
 私は再就職者なのにどちらかというと優遇された。
 そういうことが原因なのであろうか、こちらがそう思わなくても同年代にはライバル意識を持たれ、係長クラスとは表面上の付き合いで一緒に飲みに行っても、心打ち解けての付き合いができなかった。
 2年後、私は組合の書記長に推され、同じ齢の委員長の説得もあって、引き受けた。
 委員長はいろいろ面倒を見てくれ、親会社の組合の会合や東京や大阪で開かれる上部団体の会議にも一緒に出掛けていった。私は再就職して、はじめて心を許す友だちができたと思っていた。
 あるとき、地元の市会議員に立候補した化学合成会社の組合委員長の応援に駆け付けたとき、彼は帰りがけにその市会議員立候補者から、何やら封筒を受け取っていた。
 私は直感的にその封筒の中身がお金だと思ったが、彼は素早く上着のポケットにその封筒をしまい込み、私がその様子を見ていなかったと思ったのだろうか、彼は何事もなかったように装っていた。
 私はそのとき、彼とは友だちになれないと思っていた。私は翌日、彼に来年は組合の書記長を辞めると宣言した。
 自分の偏頗な性格のためであろうか、私には本当の友だちはなかなかできないようで、その後も友だちと思える人には出会うことはなかった。

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この記事へのコメント

ジージー岩魚
2020年12月14日 21:54
年金生活者、男は仕事を離れるとみんな同じ様なものかな、コツコツと毎日を送って色々探しながら自分に合った事をしてます。
失礼しました、身体に気を付けて行きましょう。
issa
2020年12月15日 11:57
ジージー岩魚さん、コメントありがとうございます。
確かに、自分に合った事をしているとストレスはたまりません。後期高齢者にはそれが一番です。互いにストレスを溜めず、生活していこうではないですか。こちらこそ、失礼しました。