公園はもうじき深い眠りに入り、春先まで静寂に包まれる

 私がアルバイトをしている市の公園は冬の主役は常緑樹で、今の季節、園内に花を見つけることはむつかしい。花と言えば、四季ザクラと皇帝ダリアぐらいのものである。
 だが、正面入り口の階段の両サイドには、常に季節の花が植えられている。
 私は年に何回、花の植え替えが行われるのか、詳しく知らないが、春先にゼラニウムに始まり、初夏から秋にかけてはマリーゴールドだった気がする。
 そして初冬に入ると、そのマリーゴールドが葉ボタンに植え替えられるようである。
 そのことを知ったのは、造園業者からの電話であり、私が受け取ったからだ。その内容は12月3日の朝早く、トラックで葉ボタンを搬入するので、公園の駐車場の鍵を開錠しておいてほしいというものであった。
 公園の駐車場の利用時間は午後7時までとなっているので、その時間になると車が侵入できないように駐車場の入り口のポールを上げて施錠する。その作業は除草班のメンバーが交代で行っている。
 バーベキュー班の私には誰が当番になっているのか分からないので、除草班のリーダーに連絡を入れて対処をお願いした。
 どうも12月3日から、マリーゴールドから葉ボタンに植え替える作業が行われるようである。
 その植え替え作業をやるのも除草班のメンバーで、すでに11月末から3日間ほどかけて、マリーゴールドが根元から掘り起こされていた。その抜かれたマリーゴールドは公園入口の階段に仮置きされている。
 11月30日の土曜日と12月1日の日曜日は気温も余り下がらず、風も強く吹いていなかったこともあり、多くの人が公園にやってきた。公園は豊明市に隣接し、名古屋市緑区にも近いので、市内だけでなく、その地域からも多くの人が訪れる。
 公園入口の階段に仮置きされているマリーゴールドの花はまだ充分に鑑賞に堪えうる。
 廃却の手間を省くために「ご自由にお持ち帰りください」と看板を立てかけてあったので、公園を訪れる人たちにより、次第に仮置きしてあったマリーゴールは持ち去られていく。
 葉ボタンの植え替え作業は12月3日の1日かけて、一刻も早く葉ボタンを根付かせるために除草班が総がかりで行われた。
 だが、かなり余裕を見てあるのか、70ほどの葉ボタンが余っている。
 やや大きめの葉ボタンなので、庭に植える余地のある除草班の人たちが持ち帰っていく。
 私がその様子を眺めていると、除草班の女性の誰かが「アンタのために4つ、除草班の倉庫の横に取ってあるからね!」と声を掛けてきた。
 どうも管理事務所にいる女性メンバーには、すでに渡してあるらしい。

DSCN3515.JPG 午後4時が定時の除草班の人たちが帰ったあと、倉庫の戸締りを兼ねて、確認に行くと、ご丁寧にセメント袋ほどのビニール袋に4つの葉ボタンが入っていた。
 私は公園の管理事務所を出て、女房のケイタイに「大きな葉ボタン4つをもらったが、持って帰っていいか?」と連絡を入れた。
 と言うのは、花は眺めるのが一番と思っている私は、家の庭の管理は女房にいっさい任せてあるからだ。もし、女房に拒まれたら、私は帰りに姉のところに持って行こうと思っていた。
 ところが、女房は「もらってきてよ!」と弾んだ声が返ってきた。
 管理事務所の業務は女性メンバーに任せて、私は前もって、ビニール袋に入った葉ボタン4つを車に運んだ。そして、同時にシルバー人材センターのベストのポケットにデジタルカメラを忍ばせた。
 暮れなずむ中、公園の階段の両サイドに植えられた葉ボタンをカメラに収めたかったからである。
 公園内の落葉樹はすでに葉を落としてしまっており、皇帝ダリアも四季ザクラも時期を過ぎようとしている。寒椿は常緑樹の陰でひっそりと咲いているが、公園の主役には荷が重すぎる。
 公園はもうじき深い眠りに入り、春先まで静寂に包まれる。

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