当分の間、ミルク嫌いでチーズ苦手は隠し通さねばなるまい

 「イタリアン料理の店だって!通りからちょっと見ただけだけど、とても店構えは洒落れてるわよ!」 女房が新聞のチラシを手にしながら、玄関の戸を勢いよく引きながら、二階の私に声を掛けてきた。
 我が家の真裏の大通り沿いに、このところ2ヶ月ほど掛けて、レストラン風の店構えの家が新築されていた。10数台が停められる駐車場の舗装工事のときには、掘削機や自転車置き場のくい打ちなどの音が余りうるさくて、テレビも落ち着いて観ておれないと女房は苛立ち気味だったが、今日の新聞の折込みチラシで、その店がイタリアン料理の店だと判ると顔が嬉々とした表情になってきた。
 「着眼点はいいと思うわよ。この近辺にはイタリア料理店はないし、車の交通量は多いし、絶対に流行ると思うわ!」 オーナーのようなコメントで私に話し掛けてくる。
 この調子だと近いうちに間違いなく<連れて行って>と言ってくるに違いない。何でもかんでも、新しい店に行ってみたくなるのが、女房の悪いクセだ。
 もともと女房はイタリア料理が好きで、隣りの市や町によく連れて行けとせがまれたものだ。考えてみれば、肝心の大府市の駅前近辺にはイタリア料理に限らず、喫茶店は幾つかあるのだが、食事の店とかレストランとかいうものが存在しない。先だってできたカレー専門店も今はもう店を閉じたままだ。辛うじて名古屋に抜ける国道沿いにヘルシー和食店とか回転寿司店とかが点在しているだけだ。
 私の家は大府駅から1kmほど離れているが、不思議なもので、そうした私の家の近辺には中華飯店と麺処がある。特に麺処などは周囲には何もないが、数年前に地方局のテレビで安くて美味しい店だと紹介されてからは、今でも食事どきには混雑している。
 その両方の店は、これまで女房が家にいなくて、少々食い意地が張っているときに私がよく利用している店だ。
 中華飯店では台湾ラーメンとセットで注文すれば、5個入り焼き餃子は100円となり、えびチリは250円となる。麺処の中華そば&ライス、掛け蕎麦&ライスは350円で、大盛りはプラス50円である。今の私にはこの値段はとてもリーズナブルで、どういう訳か、その両方の店に行く分には女房のクレームも付かない。
 一方、新聞チラシで女房の関心を惹きつけた新しいイタリア料理店のメニューの値段表を見るとランチ980円、ディナーが3,500円と載っている。最近の私はアルコールを飲まないが、生ビールがグラスで500円、ワインがグラスで同じく500円と書かれてある。早い話、生ビールをグラス一杯、若しくはワイン一杯を飲むと私の女房がいないときの食事1回分と同額になるということだ。
 今の私にはランチは付き合えても、ディナーはとてもじゃないが女房に付き合えない。
 「8月6日、開店なんだって!ねえ、連れてってよ」 女房は直球真っ向勝負で、私に不意打ちを食らわしてきた。
 「ミーコが来たら、一緒に行ってみたら、・・・。オレさ、ミルクとかチーズとか、ほんとに苦手だからさ。隠し味でほんの少し入れてあっても分かっちゃうしさ。口に入れてからだと厄介だし、・・・。」 お金のことを言い出すと嫌味になると思い、少々回りくどい言い方をして断った。
 実は女房には内緒だが、何度か結婚式に出席しているうちに今ではミルクとかチーズとかが入った料理も食べれるようになっている。特にピザやパスタにタバスコを振りかけて食べるのは、どちらかと言うと私の好物になりつつある。
 当分の間、ミルク嫌いでチーズ苦手は、ひたすら隠し通さねばなるまい。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック