幼馴染の想い出は青いレモンの味がする

 今日の気温は何度あったのだろう。20℃近くあったんだろうか。
 天気予報によると曇り時々雨とのことだったが何とか一日持った。私はYシャツだけで一日を過ごしたが少しも寒さを感じなかった。
 私はアルバイト先で先週ずっと仕事だったこともあり、土曜日の日から連続7日間の休みとなっている。
 女房は妹の長男が5月30日に結婚式を挙げるのに際して、兄弟だけでその日の細かい打ち合わせがあるとかで朝早くから妹の家に出掛けていき、我が家は私一人であった。画像
 私はいい機会だと思い、自分の部屋に閉じこもって、先だって買ってきた重松清氏の『くちぶえ番長』という文庫本を読んだ。この作品は雑誌『小学四年生』に連載されていたものらしく、小学生をターゲットにして書かれたこともあって、実に読み易く、4時間ほどで読み終わった。
 重松氏はプロローグで、この作品を書くにいたる自分のモティベーションを次のように書き込んでいる。
 <そばにいた誰かと離ればなれになって、二度と会えないまま ― というのは、ほんとうに寂しくて、悲しい。     ぼくにも、そんな相手がいる。
  子どもの頃に別れたきり、おじさんになったいまも会えないでいる。
  ネコではない。人間だ。小学四年生のときの同級生だ。名前はマコトという。ちょっと男の子っぽい名前だけど、正真正銘の女の子。その証拠に ― ぼくは「オトナになったらマコトとケッコンしてもいいかな」と思っていたんだから。
 マコトは、ある日とつぜん、ぼくたちの町にあらわれて、ちょうど一年後にまた姿を消してしまった。それっきり、いまどこに住んでいるかもわからない。
 あれから三十年以上の年月が流れた。>
 明らかにこの文章は小学生に向かって書かれたものである。氏の経験から、小学生のときに感じた思いや記憶は人間が成長する上で間違いなく自身の肥やしになるはずだから、決して小学生のときに感じた多くの感動を消滅させることなく大事に温めながら生きていってほしいという、一種の人生の先輩としてのメーセージのような気がしてくる。
 転校生のマコトは頭をちょんまげ風に結って、女の子なのに男の子以上に運動神経が良くて、正義感も強い。そして反面ではとても優しい心の持ち主でもある。
 マコトは父親に早く死なれ、母親と介護の必要な祖母と一緒に暮らしている。そんな寂しい境遇なのに明るく生きていて、悲しい時には口笛を吹くと涙が止まると亡くなった父親に言われたことをマコトはいつでも忠実に守っている。
 主人公の父親とマコトの父親は小学生のときの親友で、転校してきたのをきっかけに主人公はマコトの家族と次第に親しくなり、嫌でも主人公はマコトとの結びつきが深くなっていく。主人公は素知らぬ素振りをしていても何事にもキッパリと意見の言えるマコトの性格に知らず知らずに惹かれていく。そして、1年が過ぎ、やがて別れのときがくる。
 そうしたマコトと主人公の逸話が14話の物語として描かれている。どの話もちょっぴり切なくて、ちょっぴり心温かい。
 小説のジャンルとして、児童小説というジャンルがあるかどうか、私には分らないが、この小説はまさに児童が主人公で児童のためだけに書かれた児童小説だと私には思えてくる。読後には甘酸っぱい思いが残って、なかなか消えようとはしない。
 私は読み終わったとき、どこからともなく【幼馴染の想い出は 青いレモンの味がする】という歌詞が湧いてきて頭の中を素早く横切っていった。そして小学5、6年のときに、隣りの席で喧嘩しながらも楽しく一緒に勉強した女の子の面影が浮かんできて、すっとどこかの空間に消えていった。

 【参考】
  <おさななじみ> 永六輔作詞 中村八大作曲 デューク・エイセス唄
   1.幼馴染の想い出は 青いレモンの味がする
     閉じる瞼のその裏に 幼い姿の君と僕
   2.お手手つないで幼稚園 積木ブランコ紙芝居
     胸に下がったハンカチの 君の名前が読めたっけ
   3.小学校の運動会 君は一等僕はびり
     泣きたい気持ちでゴールイン そのまま家まで駆けたっけ
   4.ニキビの中に顔がある 毎朝鏡と睨めっこ
     セーラー服が良く似合う 君が他人に見えたっけ
   5.出す宛てなしのラブレター 書いて何度も読み返し
     あなたのイニシャル何となく 書いて破いて捨てたっけ
   6.学校出てから久しぶり ぱったり会ったら二人とも
     アベック同志のすれ違い 眠れなかった夜だっけ
   7.あくる日あなたに電話して 食事をしたいと言った時
     急に感じた胸騒ぎ 心の霧が晴れたっけ
   8.その日のうちのプロポーズ その夜のうちの口付けは
     幼馴染の幸せに 薫るレモンの味だっけ
   9.あれから2年目僕達は 若い陽気なパパとママ
     それから4年目幼子は お手手つないで幼稚園
  10.幼馴染の想い出は 青いレモンの味がする
     愛のしるしの愛し子は 遠い昔の君と僕

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