さしずめ私は時代遅れの典型的な人間

 2月26日、私の気まぐれで大垣市までフラリ旅に出掛けたが、何だかんだで大垣駅に着いたのが、岐阜での乗り換え時間も含めて、家を出てから約2時間後であった。
 時間の制約がある訳ではないので、車窓から雨に煙った影絵のような景色を楽しみ、乗降する老若男女の人たちの行動をウオッチしているとなかなか興味深く、過ぎ行く時間をしばし忘れるほどだ。
 大垣駅のホームにも雨はどこからともなく降り込んでくる。雨は弱まるどころか、ますます強くなっているようだ。
 駅構内は樽見鉄道や養老鉄道のホームもあって、人口の割に移動する人の数は意外に多くて、かつせわしない。
 駅出口は北出口と南出口とがあって、私はどちら側にメインの街並みがあるのか分らず、まず北出口に行ってみた。コーナーを何度も曲がって行ってみると広大な駐車場と自転車置き場しか視界に入ってこない。店舗らしきものも見当たらない。私はすぐUターンして南出口に向かった。画像
 駅前広場には尖塔のようなモニュメントがあり、テッペンに大時計が設置されていてる。尖塔の下には噴水が湧き出ている。「奥の細道 結びの地」という幟が雨に打たれながらもあちこちに設置され、雨水を吸って重たそうに垂れ下がっている。一眼レフのカメラを首から掛けて、重装備のバックパック姿の30代の男性が内ポケットから小型のデジタルカメラを出して、片手で盛んに駅前の光景を撮っている。プロのカメラマンなのであろうか。
 私も刺激されて、デジタルカメラで数枚写真を撮った。
 横断歩道を渡り、バスターミナルの停車場に立って西の方向を見やると、行き交う車の間隙から、メイン道路が雨に煙って薄墨色になり、真っ直ぐに延びているのが目に入ってくる。駅前は私の想像をはるかに超えた人と車の混雑ぶりで、しかも都市化が進んでいる。
 駅前の商店街は歩道を覆うようにアーケードが作られていて、買い物客は雨の日も傘を開く必要がない。
 その歩道を我が物顔で、50代と思われる4人連れの女性の塊りが私の方に向かってやって来る。その流れを私一人で抵抗しようとしても無駄だと私は咄嗟に悟って、自分の体を歩道の隅に追いやり、まさに「気を付け」状態でその軍団をやり過ごそうとした。だが、どういう訳か、私の目の前で軍団の動きが止まった。
 ケイタイの画面をじっと見ていた軍団の中の一人の女性が、「わあ、ミスしちゃったわ。もうこれで逆転は無理みたい」と大声を発した。4人の女性はたちまち輪を作った。
 私は腕時計を見た。丁度、冬季オリンピックで浅田選手がフィギュア・スケートのフリー演技をやっている時間だと私は思い当たった。画像
 ケイタイの画面を見て、4人の軍団が歩道の真ん中で立ち止まって話していると何ごとかと通りすがりの人たちも集まってきて、たちまち10人ほどの集団となった。しばらくして演技の採点が出ると、それぞれ、思い思いのため息がもれて、一瞬のうちに人だかりが消滅していく。たぶん、金メダルは絶望というコモンセンスが生まれたのであろう。
 今日あたり、私の浅薄の思考では多くの主婦は家でテレビに釘付けだと思っていたが、実はそうでもなかったようだ。
 ケイタイ機能は日進月歩、進化していて、いつでもどこでも、ワンセグ・ケイタイでテレビの中継を観ることが可能になっていたことに、今日こそ、しっかりと気付かされた。その上、1年ごとに画面も鮮明になっていく。
 私には果たしてそれがいいことなのかどうかは判断しかねるが、時間を金額で評価する時代には、きっと時流に乗った人たちにより、かなり便利だという結論を導き出されるに違いない。ならば、時間を金額で評価しない私などは、さしずめ時代遅れの典型的な人間というレッテルを貼られることになるのであろう。
 そんな考えに逆らうように、私は自分の時間を自由に使いながら、大垣公園に向かって歩いて行く。大垣市は平成の大合併で、合併を模索する複数の町の思惑が一致せず、この地方では珍しい複数の飛び地合併という結果をもたらせてしまった。
 大垣市はまた地下水が多く流れていて、自噴している場所が無数にあると言う。確かに街並みのあちこちに川が流れていて、両岸には椿や薔薇、桜や柳などが植えられていて、見るからに緑の多い街という印象を受ける。ところどころでミニ水門が現われたりして、私を吃驚させる。私は2時間ほど、疲れを感じるまで、あちこちの河川に沿って古い街並みを散策した。
 帰りは大垣発の新快速に乗って、乗り換えなしで大府まで帰ってきた。所要時間は45分であった。

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