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今週の木曜日、NHKの「にっぽんの現場」という番組を観た。 どうしても見たいと思ったのは、サブタイトルの「町工場ドリルガールズ 職人技私たちの手で 機械は快感」という文字が気になったからだ。テレビで放映された内容は下記のようである。 『場所は東京都蒲田、中小企業が4,000軒がひしめく地域である。企業主は工業高校出身者の男性社員の獲得を願うが、ここ数年、そうした工業高校出身の男性の獲得はゼロと言う。そこで不安はあったが、一人の機械加工に興味を持つ女性の採用に踏み切ったと企業主は語る。採用された女性は、機械加工の職人技に魅せられ、日毎技術修練に励む。 昔から、機械加工の職人技は、先輩たちの後姿を見ながら、自らの試行錯誤を何度も積み重ね、年月を経て養った技を徐々に体に浸み込ませていくというのが、オーソドックスな方法であった。そうして、技を身につけたヴェテランの職人も女性のひたむきさに負け、自らの技の講習会まで開くようになっていく。女性は講習会や日頃の作業の中で、気付いたことをメモに取り、帰宅してからノートに改めて清書し、いつも勉強を怠らない。就職してから9年目、彼女は今、会社になくてはならない存在となっている。 彼女に憧れ、後輩が毎年就職してきて、今や機械に従事する女性は6人にもなっていた。女性たちは自らの機械を持ち、マイドリルともいうべき工具を持って、与えられた仕事をこなしている。「ドリルガールズ」という言葉の所以である。 或る日、入社4年目の女性が、それまで鉄の加工しか任されなかったが、始めてステンレスの加工を上司から依頼される。何せ、ステンレス加工は始めてであり、不安に駆られながらも懸命に、穴あけ加工にトライする。鉄の加工のときと違って、ドリルで穴を開けるときの音や切り粉のはけ具合、そして穴あけに掛かる時間さえも不安に思えてくる。彼女は、9年目の女性の先輩にアドバイスを求める。 9年目の先輩は、ドリルの回転数、送りスピード、切り粉のつながりや音などをチェックして、大丈夫だと後輩に声を掛ける。そして始めてのステンレス加工は無事終了する。』 私は放映された内容にいちいち相槌を打っていた。 私は、大学3年の後期から4年間と大学を中退し正社員になってからの5年間の計9年間、自動車部品製造の現場に従事した経験がある。その間、センタレス研磨機、円筒研磨機、自動研削盤、旋盤、プレス、スポット溶接機、フライス盤、CO2溶接機、マシニングセンターとほぼ1年おきに違う機械について、自動車部品を作ってきた。 この経験は、営業担当になってから、この上なく役に立ったが、悲しいことに私の従事した作業は、鉄の加工ばかりであった。営業担当になってから、私の経験のない鋳鉄、アルミ、ステンレスの部品も受注することになり、その機械加工については、自分で言うのは憚れるが相当勉強したつもりである。 素材の違いによるドリルやエンドミルという刃具の選択、送りスピード、切削音、刃具の角度や回転数など、機械加工の専門書を読んだり、得意先の熟練者の人に尋ねたり、場合によっては工具店のヴェテラン社員の人にも問い合わせをしたりして、知識を得ていった。 テレビの中で、始めてステンレス加工をする女性の不安な気持は私は痛いほどよく分った。 ステンレスは鉄と違って、固くて粘り気があり、機械加工は難しい。適切な刃具の選択はもとより、ドリルやエンドミルの刃の角度、送りスピード、回転数がマッチしなければ、切り粉が絡んだり、摩擦熱で刃具が損傷してしまう。何とも難しい素材なのである。 絶えずそうしたNow Howを持つことに生き甲斐を持ち、まだ立ち入ったことのない職人芸に挑戦する姿は、私には古き良き時代を髣髴させてくれ、何とも心地よい番組であった。 |
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