年を取れば、誰だって退化する
私は地元シルバー人材センターの理事を仰せつかっている。
理事会は、毎月第3火曜日の午後1時半に招集され、引き続いて午後3時から各種委員会が午後4時半ごろまで開かれる。
せっかちな私は30分前にはシルバー人材センターが入居している会館の駐車場に着いている。常に車の中には読みかけの文庫本が置いてあるので、それを読んで、毎回、時間調整をしている。
今は、講談社校閲部著作の『熟練校閲者が教える 間違えやすい日本語実例集』を読んでいる。最近、気分転換にテレビのクイズ番組をよく観るが、歳を取ったせいか、なかなか漢字の読み書きができないことが多い。癪なので、少しは勉強しようと思い、先だって購入したものだ。
理事会の開始時間10分前に会議室に入る。
両隣は女性の理事だが、私が席に着くと同時に親しげに話しかけてくる。
「Issaさんはまだ60代でお若いのに、なんで9月25日と26日のシルバーの旅行部会が企画する親睦旅行に参加しないんですか?」と訊いてきた。私は喘息の持病持ちなので一泊旅行は参加できないんです」と答えると、自分の体がいちばんですからね、仕方がないですねと、そこはすんなりと受け入れてくれて、親睦旅行の話は終わった。
ところで、私は60代をとっくに超えていますからねと言うと、鸚鵡返しに「昭和何年生まれですか?」と質される。
「昭和19年生まれです」というと両隣に女性理事2人は「わたしたちも同じ年に生まれました」と驚いた表情になる。つまり、3人は同級生なのだ。
これまで間違っても60代に見られたことがないと私が言うと、「体格がいいから」とフォローを入れてくれる。それって、暗に「デブ」だと言っているようなものだ。
同級生というだけで、なぜか身近に感じる。
理事会に出席すると、その都度、2000円が支払われる。
私はここ数年、地域自治区やコミュニティ推進協議会の役員を仰せつかってきたが、すべて無給のボランティア活動であった。今もコミュニティ推進協議会の広報部の副部長をやっていて、コミュニティ推進協議会が関連する行事やイベントには出ていき、写真を撮り、記事も書いたりするが、すべて純然たる奉仕活動である。
シルバー人材センターの理事会のときに支払われる2000円は、私にとっては思いがけない臨時収入のようなもので、理事会終了後には、必ずと言っていいほど中型量販店に行って、カット時間約10分、料金1000円(税別)のカットサロンに立ち寄る。
カットが終わると、今度はスーパーを回り、公園の管理事務所の勤務のときに飲むネスカフェ・ゴールドブレンドを1瓶のみ購入する。公園でも我が家と同じコーヒーが飲みたいからだが、これで2000円はほぼなくなる。
8月21日の日も中型量販店に立ち寄り、ルーティーンの行動を終えたあと、最後に新刊書店で最近の売れ筋の本にどんなものがあるかを見て回った。
すると内館牧子さんの『すぐ死ぬんだから』という単行本が平置きされていた。
面白そうなので、手に取ってみる。すると冒頭に次のような文章が載っていた。
<年を取れば、誰だって退化する。
鈍くなる。
緩くなる。
くどくなる。
愚痴になる。
淋しがる。
同情を引きたがる。
ケチになる。
どうせ「死ぬんだから」となる。
そのくせ、「好奇心が強くて生涯現役だ」と言いたがる。
身なりにかまわなくなる。
孫自慢に、病気自慢に、元気自慢。
これが爺サン、婆サンの現実だ。>
まったくその通りである。ここで私に当てはまらないのは、孫自慢と元気自慢の2つだけである。
内館さんは私より4歳年下で団塊世代の70歳である。爺サン、婆サンのことをよく知っておられる。
私はまた衝動的にこの本を買ってしまった。
理事会は、毎月第3火曜日の午後1時半に招集され、引き続いて午後3時から各種委員会が午後4時半ごろまで開かれる。
せっかちな私は30分前にはシルバー人材センターが入居している会館の駐車場に着いている。常に車の中には読みかけの文庫本が置いてあるので、それを読んで、毎回、時間調整をしている。
今は、講談社校閲部著作の『熟練校閲者が教える 間違えやすい日本語実例集』を読んでいる。最近、気分転換にテレビのクイズ番組をよく観るが、歳を取ったせいか、なかなか漢字の読み書きができないことが多い。癪なので、少しは勉強しようと思い、先だって購入したものだ。
理事会の開始時間10分前に会議室に入る。
両隣は女性の理事だが、私が席に着くと同時に親しげに話しかけてくる。
「Issaさんはまだ60代でお若いのに、なんで9月25日と26日のシルバーの旅行部会が企画する親睦旅行に参加しないんですか?」と訊いてきた。私は喘息の持病持ちなので一泊旅行は参加できないんです」と答えると、自分の体がいちばんですからね、仕方がないですねと、そこはすんなりと受け入れてくれて、親睦旅行の話は終わった。
ところで、私は60代をとっくに超えていますからねと言うと、鸚鵡返しに「昭和何年生まれですか?」と質される。
「昭和19年生まれです」というと両隣に女性理事2人は「わたしたちも同じ年に生まれました」と驚いた表情になる。つまり、3人は同級生なのだ。
これまで間違っても60代に見られたことがないと私が言うと、「体格がいいから」とフォローを入れてくれる。それって、暗に「デブ」だと言っているようなものだ。
同級生というだけで、なぜか身近に感じる。
理事会に出席すると、その都度、2000円が支払われる。
私はここ数年、地域自治区やコミュニティ推進協議会の役員を仰せつかってきたが、すべて無給のボランティア活動であった。今もコミュニティ推進協議会の広報部の副部長をやっていて、コミュニティ推進協議会が関連する行事やイベントには出ていき、写真を撮り、記事も書いたりするが、すべて純然たる奉仕活動である。
シルバー人材センターの理事会のときに支払われる2000円は、私にとっては思いがけない臨時収入のようなもので、理事会終了後には、必ずと言っていいほど中型量販店に行って、カット時間約10分、料金1000円(税別)のカットサロンに立ち寄る。
カットが終わると、今度はスーパーを回り、公園の管理事務所の勤務のときに飲むネスカフェ・ゴールドブレンドを1瓶のみ購入する。公園でも我が家と同じコーヒーが飲みたいからだが、これで2000円はほぼなくなる。
8月21日の日も中型量販店に立ち寄り、ルーティーンの行動を終えたあと、最後に新刊書店で最近の売れ筋の本にどんなものがあるかを見て回った。
すると内館牧子さんの『すぐ死ぬんだから』という単行本が平置きされていた。
面白そうなので、手に取ってみる。すると冒頭に次のような文章が載っていた。
<年を取れば、誰だって退化する。
鈍くなる。
緩くなる。
くどくなる。
愚痴になる。
淋しがる。
同情を引きたがる。
ケチになる。
どうせ「死ぬんだから」となる。
そのくせ、「好奇心が強くて生涯現役だ」と言いたがる。
身なりにかまわなくなる。
孫自慢に、病気自慢に、元気自慢。
これが爺サン、婆サンの現実だ。>
まったくその通りである。ここで私に当てはまらないのは、孫自慢と元気自慢の2つだけである。
内館さんは私より4歳年下で団塊世代の70歳である。爺サン、婆サンのことをよく知っておられる。
私はまた衝動的にこの本を買ってしまった。
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