余計なお世話に近い私の独り言

 今日、産経新聞の電子版を開いたら、9月21日付で戸津井康之という名の記者が書いた【視聴率40%超「半沢直樹」を生んだ池井戸潤氏「銀行時代の“不正義体験”」】というタイトルの記事が掲載されていたので、思わず気になって読んでしまった。
 私は7月7日にこのブログで「私を奮い立たせてくれた小説のテレビドラマ化」というタイトルで、「半沢直樹」シリーズのテレビドラマ化は、私のように長年サラリーマンをしてきた者にとっては、実に面白そうなので、DVD録画をしてぜひ観てみたいと書いたことがあった。そのときにはこんなに視聴率が取れるとは思っていなかったので、私自体はすごく吃驚している。
 確かに池井戸氏の小説は「銀行時代の“不正義体験”」を基にした作品が多い。その代表的な作品が「半沢直樹」シリーズで、この新聞記事の前半はそのシリーズについて書かれているが、後半になって「空飛ぶタイヤ」という小説について私の気になる記述があった。
 その後半の記事の一部を紹介してみる。
 <「空飛ぶタイヤ」は大手自動車メーカーによるリコール隠しがテーマになっている。大手自動車メーカーが、タイヤがはずれるトラックの欠陥を知りながら放置したため、事故が相次いだ実話が基になっている。>
 そのことについて、池井戸氏はインタビューの中で、「企業の責任を放棄した自動車メーカーに大手銀行は、そのまま融資を続けたんです。一方で、行員にコンプライアンスの重要性を説きながら。こんな不正がまかり通る社会はおかしいと思います」と語っている。
 実は、私は営業担当時代、件の大手自動車メーカーが製造する大型トラックのエアコン部品数点を受注していて、同系列の財閥グループ会社を通してではあったが、神奈川県にあるアセンブリー工場に納入していた。
 売値は部品セットで1万5千円もあり、利益率も高く、事故以前はその大型トラックシリーズは月2000台近く組み立てていた筈だから、私にとって、いわばドル箱と言ってもいい商品であった。
 その財閥系会社は、紳士的なグループ会社として世間に認知されていて、単価の押し付けや値引き、転注などのパワハラに付いても、社内に独自の監視委員制度を設けてコンプライアンスについては厳しくチェックしていた。
 さらに四季折々の付け届けや年末年始の挨拶、忘年会や新年会はもとより、栄転した人たちの歓送会や後任の人たちの歓迎会もお断りしますと、はっきりと正式文書で協力工場300社に通達文書を送っていた。
 ただ、ゴルフなど目立つ接待は控えても、プライベートを装った担当同士の夜の接待などは黙認されていたのが現状であった。
 そんなにコンプライアンスに厳しかった財閥系会社が、タイヤがはずれるトラックの欠陥を知りながら、社会問題になるまで放置していて、挙句の果てに人身事故まで起こしてしまったことをすぐには認めず、臭い物に蓋するような隠蔽する体質の会社であったことが、私には途轍もなく衝撃であった。
 下には声高々にコンプライアンスの徹底を訴えておきながら、その財閥系の大手自動車メーカーのトップの所業が、どう言い訳をしようが、私の中に腹に収まらない不満が膨らんでいった。
 そんな事情もあって、池井戸氏の小説を22冊も読んできたのに、未だに私は「空飛ぶタイヤ」だけは読んでいない。タイヤがはずれる大型トラックの欠陥が明らかになると同時に売上が激変して、利益率も減って、次第に私の会社での立場が気まずくなっていったからだ。嫌でもその時代の自分を思い出してしまうのだ。
 ちょっと先走った形になったが、今年7月に文庫オリジナルで発刊された「ようこそ、わが家へ」も購入したままで、まだ読んでいない。そんなトラウマはかなぐり捨てて、10月には両方とも読み終わらせようと思っている。
 話を戻すと、「半沢直樹」シリーズは男性サラリーマンには受けるドラマだと思っていたが、女性たちはおそらく敬遠すると思い込んでいたので、視聴率が40%になるとは思ってもみなかった。
 余分なことだが、私は池井戸氏の小説をテレビドラマ化するのであれば、銀行の女性行員が活躍する「銀行総務特命」や「不祥事」の方が、視聴率が上がるのではないかと思っていたし、今でもそのように思っている。
 この女性行員の活躍もまた面白いし、女性を含めた視聴者の溜飲を下げるのではなかろうか。これは余計なお世話に近い私の独り言である。
 <参考>
 24日付の新聞に最終回の視聴率が載っていた。ただし、私はこれまでDVD録画で観てきたので、視聴率には寄与していない。
 【00年のTBS系「ビューティフルライフ」最終回の41・3%を抜き、今世紀放送されたドラマでは視聴率1位になった。瞬間最高視聴率は46・7%で、午後10時17分に記録。堺演じる半沢が出向を命じられ、顔が大写しになった直後だった。】

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