料理店の経営者が代わると、店の雰囲気も味も変わってしまうようだ

 私はときどき、東海市の大池公園に散歩に出かける。
 一人のときもあるし、女房と一緒のときもある。
 東海市の大池公園に行くのは四季の花々を鑑賞できるのと、市庁舎のランチが質量、価格ともお値打ちだからである。
 残念ながら、大府市庁舎のレストランとは大きな差である。
 我が家から、その大池公園までの道のりで、知多半島道路のインター近くにあるイタリア料理店があり、10年ほど前まで、女房とよくランチを食べに行ったものである。
 その頃、駐車場はランチ時になると満車状態になり、店の入口のウェーティング・チェアーにはすでに7人ほどの客が座っている。
 やっと私たちの順番が来て、店内に入ると喫煙席と禁煙席に分けられており、その当時、ヘビースモーカーだった私は空いていれば、躊躇せず、禁煙席であっても座るようにしていた。
 さらに板東英二氏がMCを務めるテレビ番組の取材がその店に入り、後日、放送されるやその列に並ぶ人数はもっと増えていた。
 だが、この10年ほど前から、ランチ時になってもそのイタリア料理の店のウェーティング・チェアーに座っている客を見掛けることもなくなり、当然、駐車場も2、3台の車しか停まっていない。

 そう言えば、名古屋にある外国語学校で英会話を学んでいたとき、カナダ人の英会話講師Raymondが突然、テキストの中のひとつの文を取り上げて、私に向かって、「この英文の意味が分かるか」と不意に質問してきたことがあった。
 その文とは次のような文である。
 <It's not as good as it used to be. I think it's changed hands and it's gone downhill a bit.>
 最初の文の意味は理解できたが、2つ目の文の意味が分からなかった。
 正直に分らないと答えると、Raymondは、レストランやカフェ、その他の店でもオーナーやマネージャーが代わる(change hands)と、店の雰囲気や味、そしてメニューの質や量、店員のサービスなどが従来と異なってきて、少しずつ坂道を転げ落ちるように客足が減っていく、カナダでもよくあることだが、そんな状態を表現するのに<It's changed hands and it's gone downhill.>という言い方をすると教えてくれた。
 この言い回しは日本人の感覚にも充分マッチしている。
 上述のイタリア料理店にも当てはまるのではないか、そんな気がしてきた。
 名古屋近郊の人たちは物珍しがり屋で、新しい店ができるとすぐに飛びつくが、一旦、味が自分に合わないと思ったら、あとは見向きもしなくなる性向を孕んでいる。
 ところが、この店はその後も廃れることなく常に好評だった。
 先だって、女房と一緒に東海市の大池公園に行くとき、ランチタイムの時間なのに駐車場には車が少なく、ウェーティング・チェアーも空いたままだった。
 女房が「このレストランって、どうも経営者が代わったみたいよ。それで、客が減ったんじゃないの」と言ってきた。
 物好きにも女房と一緒に店に入ってみた。
 店の佇まいは昔と変わらないように思えたが、パスタ料理のメニューが代わった気がするし、シェフの顔ぶれも代わったような気がしてきた。
 陽気で甲斐甲斐しく動き回っていた以前の店員と違って、客に対するサービスの質もまた低下しているようだ。
 料理は一見、余り変化がないように見えるが、店内の雰囲気や味も以前とは差があるように思える。
 まさに【It's changed hands and it's gone downhill a bit.】という状況と言ってよかった。
 味や店内の雰囲気はほんのわずかな差かも知れないが、少しずつ、その差が客に伝わっていくと知らない間に店の評判が目減りしていく。
 そうした傾向は、日本もカナダも同じなのかも知れない。

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