親しい大切な人を呼ぶときは「固有名詞」で呼ぶのが、私流の二人称の呼び方である

 今月16日に我が家にやって来た娘が「わたし、お父さんみたいな人と結婚したくないとずっと思っていたけど、近ごろ、うちのダンナがお父さんに似てきて、困っている」と突然、嫌味を言ってきた。
 娘がちゃんと自分のことを「わたし」と言っていることに気付いて、やっと大人になったなと感じていた。
 娘は二十歳過ぎまで、会話の中で自分のことを「わたし」と言えず、私のこれまでの度重なる叱責にも関わらず、長い間、自分の名前である固有名詞を一人称として使っていた。
 嫁に行ってからも我が家にやって来ると、これまでの慣れのせいか、自分のことを固有名詞で言っていたが、今はやっとスムーズに、「わたし」と言えるようになった。
 ダンナの父母だけでなく、ダンナの父親の母、つまり義理の祖母とも同居しているので、さすがの娘も自分を固有名詞で呼ぶのは不自然だと思いつつも、これまで自分の家にいてべったりと甘えていたときの習慣が身に付いてしまっていたが、この何年かでその習慣を必死で是正し続けたことが実を結んだようである。
 私はこれまでずっと、不思議に思ってきた。
 現代英語では、古代英語の人称代名詞を除いて、自分のことを指すのは、すべて「I (アイ)」で事足りている。しかも母音も単純に二重母音(アイ)一つだけで、会話の中で繰り返すときも手間取ることもなく余り気にならない。
 ところが、日本語は、「わたし」「わたくし」「ぼく」「おれ」「わし」など、そのバリエーションは英語の比ではない。しかも、TPOにより、その数多いバリエーションの中から、臨機応変に選択しなければならない。
 娘のように、保育園の頃から、自分のことを○○ちゃんという癖が身に付いてしまうと、場面の状況に応じて、どの一人称を表わす言葉を選んでいいのか、迷うことになる。
 長年の癖を直そうとすると、恥ずかしさと照れが先になって、もとの木阿弥、自分のことをつい○○ちゃんと言ってしまうようである。
 ところが、外国人の小学生の子どもが英語を話しているのを聞いていると、ごく自然にしゃべり言葉の中に「I (アイ)」が入っている。それは英語の文型からすると、命令文や広告文などの特殊な場合を除き、必ず、述語に対する主語が必要で、そのバリエーションも「I (アイ)」ひとつしかないことが大きな理由からだと思われる。
 これは二人称である「あなた」「きみ」「あんた」「おまえ」なども同様で、英語ではすべて「You」で事足りてしまっている。
 と言うことは、娘は義理の祖母や義父母と色んな話をするときには、日本語のどんな二人称の言葉を選択しているか。少しばかり、気掛かりにもなってくる。
 私は28年間も自動車部品製造会社の営業担当をしてきた。最初のうちは気恥ずかしさが先に立っていたが、一旦仕事と割り切ることで「御社」という言葉もすらすら出てくるようになった。
 だが、家族に対する呼びかけのときには「おい」「おまえ」とか、「おかあさん」「ママ」などの言葉を使わず、女房だけでなく、娘や息子に対しても、未だに固有名詞で呼んでいる。
 この世で1人しかいない自分の係累のことを、私は「おい」「おまえ」と呼ぶことはない。
 後期高齢者になった今も、中学時代の友だちに対しては<ちゃん>付けで呼んでいる。
 さすがに第三者のいるときは、違和感を抱きながらも苗字で呼ぶか、もしくは「あなた」と言葉を変えている。
 親しい大切な人を呼ぶときは不特定多数の言葉使いを避けて、「固有名詞」で呼ぶのが、私流の二人称の呼び方である。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

この記事へのコメント