自分が席を譲られるほどの高齢者に見られたのがショックであった

 私は市の公園でアルバイトをしているが、通常、祝日でない限り、月曜日が休みとなっている。
 国立長寿医療研究センターの定期検診や診察はできるだけ、月曜日にしてもらうようにしている。また、どうしても知り合いと会わなければならないときは月曜日にしてもらっているし、名古屋に出かけるときも月曜日が多い。時間を気にしなくていいので、気楽だからである。
 久しぶりに1月6日に名古屋に出かけていった。
 密かな古書店ブームが起きているそうである。古書店と言っても新古書がメインの古本屋ではなく、私たちの学生の頃にあったような、戦前の古書を集めた古いタイプの古書店だということである。
 私は大学生の頃、名古屋の上前津駅の交差点角にあった4店舗の古書店と大須の古書店にはよく行った。そのついでに大須演芸場に行ったり、東映映画の上映館にも行ったりした。
 話は横道に逸れるが、大須演芸場は1965年に落語とコントと漫才を上演する寄席として、オープンした。
 私が大学生1年生の頃に「落語研究会」ブームが起き、私が通っていた大学にも「落研」が結成された。顧問には「子故の春」「子供の広場」など、子ども主題の噺を得意とした二代目桂枝太郎師匠であった。
 大須演芸場の後押しもあって、前座の前座で、落語の発表会をやらせてもらったが、当然、高座に上がったのは落語のネタに精通したメンバー2人だけであった。
 また大学の学生証を見せれば、入場は半額であった。
 だが、3ヶ月が経ったころ、大須演芸場が常打ち寄席になり、多くの落語家や人気芸人が出演するようになってからは、高座に上がることはなかった。
 メンバーの中には、勤勉亭親不孝とか、南亭骨太とか、それぞれ落語家らしい名前を付けていた者もいた。

 話を元に戻すと、ネットで検索してみると、名古屋は上前津 ― 鶴舞間が古書店エリアで、現在でも15店舗ほどあるとのことである。
 鶴舞まで行くのは大変なので、上前津と大須の古書店を巡ってきた。
 私の好きな作家で、所蔵していない吉行淳之介氏の著作を購入したい気持になったが、その価格の高さに吃驚して、1冊も買わなかった。
 午後4時半ごろ、名古屋から上りのJRの新快速に乗車したが、意外に混んでいた。
 20代後半と思われる女性が、私を見て席を譲ろうとしたので、大府駅で降りるのでいいですと断ってしまった。
 まず、自分が席を譲られるほどの高齢者に見られたのがショックであった。
 それより何より、新快速なので13分もすれば、自分が降りる大府駅に到着する。それを承知で若い女性の申し出を受け入れた方がいいのだろうか、私のその対応に戸惑いながらも、断ってしまった。
 若い女性は困惑した態度で、再び座席に座った。途端に申し訳ないという気持が押し寄せてきて、思わず「気遣ってもらい、ありがとう」と声を掛ける。
 その若い女性は発車後1つ目の共和駅で降りた。その後ろ姿を目で追いながら、私は「今の若者も捨てたもんじゃないな」と独りごちていた。
 少し前の中日新聞の朝刊コラムに次のような文が載っていた
 <日本民営鉄道協会のアンケートによると、二〇一九年度の「駅と電車内の迷惑行為ランキング」の一位は座席の座り方だそうだ。座席で詰めて座らない。足を広げる。足を組む。(中略)「大きくなって電車に乗る」人が当然ながら、迷惑がられている。>
 そう言えば、同じ客車の優先席で、足を広げて我が物顔で座っていた若い男性がいた。誰も口には出さなかったが、迷惑だと思っていたに違いない。
 その優先席の男性にも、私に席を譲ろうとした女性の思いやりの半分でもあれば、「世の中、満更でもない」と思えるのだが。

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