私はガラケイだが、取り残された気持が次第に萎んでいくのが分かった

 今日一日、せっかくの休みであったが、女房は用事があるとかで、午前9時半ごろ、自分の車で出かけていった。
 10年ほど前、市営駐車場で一緒に働いていた同僚が出品している「木版画合同展」が愛三文化会館で開催されているので、今日は女房と一緒に行こうと思っていたが、やむを得ず、明日の午後から行くことにした。
 女房に用事があり、家で独りぼっちになるときは、私はこれまで「なごや古本屋案内」に載っている古書店や近くのブックオフ、ブックマーケットに行くことが多かった。
 だが、ここ2年ほどで幾つもの古書店が閉店に追い込まれる状況になってきた。
 私が住んでいる市でも老舗の古書店が2店舗、半田市や刈谷市のブックオフ店、東浦町と知多市のブックマーケット店が閉店になった。
 そんなわけで、今は独りぼっちの日の私の楽しみが半減してしまった。

 話は飛ぶが、私は32歳のときに家を建てて、現在のところに引っ越した。その引っ越しの際、読み終えた300冊ほどの本を廃却した。
 その中には吉行淳介氏の初期の短編集『星の降る夜の物語』『驟雨』『原色の街』があり、柴田翔氏の『されど われらが日々―』『贈る言葉』『立ち盡す明日』や庄司薫氏の『赤頭巾ちゃん気をつけて』『さよなら快傑黒頭巾』『白鳥の歌なんか聞えない』もあった。
 私はしばらくして廃却したことを後悔した。
 私の古書店巡りが始めたのは、それらの単行本を捜すためだった。
 吉行淳之介氏の娼婦を描いた小説に興味を抱いて、小遣いをはたいて『原色の街』を買い、両親に見つからないようにこっそりと読んだ。だが、読み終わったあとに残ったのは、吉行淳之介氏の文章の巧みさであった。
 私は高校3年生のときに文芸部の部長をやっていたが、身に付いた語彙の少ない私は、吉行氏の『原色の街』の表現を参考にして書いていた。
 柴田翔氏と庄司薫氏の単行本は手に入れたが、さすがに吉行氏の『星の降る夜の物語』『驟雨』『原色の街』は手に入れることはできなかった。
 手に入れようと思えば、「日本の古本屋」というホームページから購入することができる。だが、値段が高いこともあるが、今はそこまでして手に入れようとは思わない。いずれ、近いうちに子どもたちにより、廃却されることになると思われるからだ。
 しかし、古書店巡りにその頃の単行本に出会うと、懐かしさのあまり、ついつい購入してしまうことが多い。

 最近は新刊書店に行く回数の方が増えている。
 おそらく女房の帰りは午後2時近くなると思われるので、車で10分ほどのところにある大型総合スーパーの中にある本屋に出かけて行った。
 本屋に着いた頃に、女房から私のケイタイに連絡が入った。
 昼食はどうするのかという問い合わせであった。今、大型総合スーパーに来ているので、値引きされた弁当でも買って、家で食べるからと答えると、私もこのまま大型総合スーパーに行くので、2階の本屋の近くにあるベンチで待っていてほしいと言ってきた。
 そこで、私は平置きされていた『北野武第一短篇集 純、文学』を購入して、待ち合わせ場所である2階の本屋の近くにあるベンチに座り、最初に収められている短編「ホールド・ラップ」を読んでいた。
 たまたま今日は20代の男性と30代の男性、そのほかに60代後半と思われる男性の全員がベンチに座って、スマホの画面を凝視している。どうも60代後半の男性はネット・ゲームをやっているようだ。
 私は未だにガラケイなので、次第に1人だけ取り残された気持が膨らんでいった。
 そう言えば、今朝、中日新聞の電子版で【ネット・ゲーム依存、現状を講演 名古屋で専門医】という次のような記事を読んだばかりであった。
 <2011年にインターネット依存専門外来を始めた久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長が四日、名古屋市中区で、ネット依存の現状と対策について講演した。
 樋口院長によると、専門外来の受診患者の9割がゲームに依存し、そのうちほとんどがオンラインゲームに依存しているという。7割は未成年だった。全国的にはネット依存が疑われる中高生の推計値は、12年度の調査での52万人から17年度には93万人と急増しているという。> 
 今、目の前に93万人の中の1人がいる。次第に取り残された気持が萎んでいくのが分かった。

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