方向音痴の行き着く先には?

 私は小さい時から方向音痴で、小学生の低学年の頃には一人であちこち出歩いて、帰り途が分からなくなり、養父母を心配させたことが、少なくても3度はあった。
 だが、運よく同じ町内の人に出会って連れて来てもらったり、タクシーの運転手さんや自転車に乗った人が、私が家の前にあった大衆浴場の名前を告げると親切にも送り届けてくれたりした。今なら、さては誘拐かとたちまち大騒ぎになるところだが、60年前は皆、親切な人ばかりであった。
 いずれの場合も、近隣の町の村祭りに一人で出掛けて行って、陽が落ちかけているのも気づかずに、祭りに夢中になっていたために帰り途が分からなくなったのである。
 特に、私は香具師の人の啖呵売の口上が好きで、その香具師の人が夕方に店を畳むまで、地べたに座り込んで見ていたものだ。
 実は、今日ほど自分の方向音痴を思い知らされたことはなかった。
 今日もまた、家に一人取り残された私は、午前中は読書をして、午後からは東海市にある新刊書店と古書店に行ってみようと思い立った。知多市や半田市の書店はよく行くが、東海市の書店には行ったことがなかったからだ。
 ネットで調べてみると新刊書店が3軒、古書店が2軒あることが分かり、グーグルで地図を検索してみたが、イマイチ地名がピンと来ず、県道55号線沿いに行けば何とかなるだろうと出掛けてみた。だが、1軒の新刊書店と1軒の古書店は見つかったものの他の書店がなかなか見つからない。
 車にはカーナビが搭載されているが、地図のデータが10年以上も前のものなので、余り役に立たない。とは言え、方向音痴の自分の勘を信用したのが、そもそもまずかった。
 県道55号名古屋半田線は名古屋市を起点とし、東海市、知多市、阿久比町を通って半田市に至る県道だが、以前は東海市名和町で旧道とバイパスが分岐していて、どちらも県道55号線であった。ところが、旧道は2011年からは県道55号線から外されていたことを私は知らなかった。グーグルの地図の県道55号線はバイパスのことを言っており、旧道沿いをいくら探してもない訳である。
 私の強い思い込みと方向音痴が重なれば、当然、見つからないという結論になる。日を改めてもう一度、来てみることにした。
 1軒見つかった新刊書店に寄ってみることにした。
 割りと大きな店で、置かれてある本もかなり多い。店の自動ドアを入ると目の前の広いスペースにアクリル板で読書指定本と書かれた本が並べられてあった。小学校、中学校、高校とブロック別に平置きされている。そう言えば、夏休みはもうそこまで来ていることに私は気付いた。
 ふと見ると、平置きスペースの上の棚には、読書感想文に関する両親用と思われる本が収められている。
 その中の1冊を手に取ってみて、パラパラと捲ってみたら<今や教育は「3R」から「3X」へ>という項目が目に入ってきた。気になって拾い読みをしてみた。
 「3X」とは、マサチューセッツ工科大学の先生が提唱していて、Explore(探求する)、Exchange(共有する)、Express(表現する)という意味で、各単語には共通して「X」が入っているので、「3X」と呼ぶらしい。
 私は数年前、このブログで、3R’sというタイトルで、かつてアメリカでは教育の3要素は「3R」【Reading 、Writing、 Arithmetic】と言われてきたと書いたことがあった。3R'sとは日本的に言えば「読み書きそろばん」ということになる。
 その本には、今やマサチューセッツ工科大学の先生に言わせれば、アメリカの教育の基本を、「3R」から「3X」に変化させるべきで、それによって、従来の詰め込み教育から子どもたちのやる気が格段に上昇するという理論を唱えていると書かれてあった。
 「3R」が「3X」に変化しても、私の方向音痴は死ぬまで治らないことだけは確かなようだ。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック