藤田伸二騎手の『騎手の一分』を読んで

 今日、現役JRA騎手である藤田伸二氏の著作『騎手の一分』を読み終えた。
画像 このところ、競馬に関する本は読んでいなかったが、6月初旬にBSのテレビ番組「宮崎美子のすずらん本屋堂」で、この『騎手の一分』が思いのほか売れ出したと話題になっていたこともあって、競馬の一ファンとして急に読みたくなったのである。
 ところが、翌日から続けて近くの書店を3軒回っても見つからず、がっかりしていたが、月曜日にやっと同じ町内の書店で見つけて、昨日と今日で一気に読み終えてしまった。
 サブタイトルに「競馬界の真実」とあるので、一種の暴露本という予断を持って読み始めたが、じっくりと読んでいくと、私は飽くまでも騎手の立場から、今後の競馬界に向けての提言だと受け取った。
 25歳のときに客先の外注担当から頼まれて場外馬券売り場に馬券を買いに行ってから、私とJRAと最初の付き合いは始まり、今年でもう44年になる。そんな私でもJRAに関して、知らない部分が多くあって、目からウロコの情報が幾つも載っていた。
 思い付いたまま、列挙してみる。
 1)JRAの売上高は1997年の約4兆円をピークにずっと縮小傾向は続いていて、2012年は約2兆4000億円にまで下がっている。
 2)入場者数は1996年の1411万人から2012年は619万人と全盛期の半分以下に減っている。
 3)この30年でJRAの所属騎手は252人から約130人へと半分近くまで減っている。
 4)2012年に辞めた騎手は23人で、そのうちデビュー6~11年目の騎手が8人もいる。
 5)競馬学校の応募者数が、最盛期には761人いたのに、2010年には148人にまでなってしまった。
 6)かつてダービーを目指すサラブレッドは1万頭を超えていたが、2012年は6823頭と激減している。
 7)競走馬の激減とともに、有力馬を所有する大手クラブ、大牧場、有力馬主の発言力が絶大になった。
 8)2006年からエージェント制度が導入され、騎手本人が馬主や調教師に騎乗依頼をすることが少なくなった。
 (注);エージェントというのは、日本語で言えば騎乗依頼仲介者のことで、契約を結んだ騎手の代理として、馬主や調教師から騎乗依頼を受けつつ、その騎手の騎乗馬を調整することを、おもな仕事としている。現在は20名ほどのエージェントがJRAから認知されている。
 さらに細部にわたっては、競馬ファンの興味を引く事柄が幾つも載っているが、私なりに藤田騎手の言いたい内容を上記の8つにまとめて列挙してみた。
 私なりに8つの事柄をさらに突き詰めた言い方をしてみると、「エージェント制度を改革し、大手クラブや有力馬主の発言力を抑えて、安易な乗り替りや外国人騎手の多用を制限する」 ― そうした方向で、今あるシステムを改革していくべきだと、藤田騎手は主張しているのではなかろうか。
 確かに売上高や入場者数はデフレスパイラルの影響もあると思われるが、そのほかの事に関しては、これからのJRAにとっても深刻な問題で、何らかの改革は必要ではないかと差し出がましいと思いつつ、私は唯一の楽しみであるJRA競馬を慮った次第である。

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