夫婦愛とは心と体の波長を合わせること

 女房は昔からドライブが好きだ。
 自ら運転するのではなく誰かに運転させて、助手席で通り過ぎていく景色を見るのが好きなのだ。自分の中にストレスがたまってくると行きたいところがあるから、私に連れて行ってほしいと言ってくる。
 先だっても急にラグーナ 蒲郡 に行きたいと言ってきた。ラグーナ 蒲郡はテーマパーク、おさかな市場、 アウトレット、マリーナ、タラソテラピー、レストラン、日帰り温泉など6つの施設が揃う複合型マリンリゾート施設で、三河地方の人には割りと人気のスポットである。
 ただ、私の住んでる大府市からラグーナ蒲郡に行くには東名高速の音羽蒲郡インターを利用して行っても、西尾市から国道23号線を利用して行ってもも軽く1時間半は掛かる。渋滞個所も多く、どちらかと言えばドライブとして行くには避けたい方面と言える。
 だが、女房にストレスがたまるとその反動の標的は私に向けられる。私にはその矛先を拒むほどの勇気はない。
 やはり行ってよかった。女房はすこぶるご機嫌だった。
 往きは東名高速を使って、帰りは国道23号線を利用して帰ってきたが、蒲郡市内を車で走っているとき、ブック・オフ蒲郡店という看板が目に付き、女房を誘って入店してみた。
画像 入口の狭い店だったが、店内のフロアはウナギの寝床のように奥行きが長く、置いてある本の数も多い。少なくても私がよく行く大府市や東浦町のブック・オフ店と比較して、フロアの広さも置いてある本の数も3倍はありそうだ。
 入口を入って、すぐ右手のところに日本人作家のコーナーがあり、その中に重松清氏の『愛妻日記』という単行本が棚にあった。他にも重松氏の単行本が数冊置いてあったが、どういう訳か、『愛妻日記』だけが値段の表示がない。
 汚れもなく新品同様なので、カウンターの店員に声を掛けて値段を訊いてみた。主任らしき女性が出てきて、本を広げてから105円でいいですと即刻決断をしてくれた。税別で1,600円、しかも新品同様、店員の勢いも手伝って、私はその場で購入してしまった。
 私はこれまでに重松氏の著作はずいぶん読んできたが、たとえ氏が公けに読み物作家を標榜していても、性愛小説だけには手を染めてほしくないと思っていた。性描写のリアルさ、緻密な表現など、『疾走』を読んでいた私には、その実力のほどは分かってはいたが、ただ単に官能小説を目的に物語を書いてほしくないと思っていた。
 だが、氏はこうした性愛小説を書く気になった経緯を、この『愛妻日記』の帯に次のように書いていたのを読んで、一度は重松氏の官能小説に読んでみてもいいかと思えてきた。
 <「匿名で官能小説を」という「小説現代」編集部の注文を受けて、表題作を書いた。最初は一度かぎりの企画物のつもりだったが、ハマった。二作目以降は、志願して短編を書き継いでいった。全六編、いずれも、夫婦の物語。官能小説、妻に対する夫のゆがんだ ― でも、だからこそまっとうでありうるはずの情欲を描いた。小説の書き手として、これらの物語は僕は欲していたのであろう。今後も夫婦や家族の物語を書きつづけたいから、性から逃げ出したくなかった、のかも知れない。>
 重松氏の【性から逃げ出したくなかった】という気持はよく分かる。
 人間が生きていくためには、性の問題を避けては通れない。夫婦の愛は、互いの心と体の波長が合わなくなってくると決して大きくは育たない。波長のズレを修正しようとするのには、やはり性愛行為で修正を図るのが、まっとうな夫婦であり、それが唯一確実な愛の証しなのかも知れない。
 いずれにしても、性描写の箇所をフィクションだと割り切って読んでいたら、半日で読み終えてしまった。

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