人間誰もが時代とともに生きている

 今日の午前10時ごろ、女房を誘って隣り町の東浦町にあるショッピング・モールに出掛けて行った。
 新潮社発行の季刊誌『yom yom』を購入するためで、通常なら一人で買いに来るのだが、この暑い中、女房を誘ったのは、私が先だっての出勤時に駅の跨線橋の階段で足を踏み外し、左足を脱臼してしまい運転し辛くなっていたからだ。激しく動かなければ、仕事をする分には影響することはない。
 ショッピング・モールに行ってみて、私は余りの混雑さにびっくりしてしまった。通常の木曜日に比べて、人出が倍以上だったからだ。ウィークデイには余り見掛けぬ若い男性たちの姿も多く見える。屋内駐車場は10数台の車がハザードを点滅させて、出庫する車がないかと眼を皿のようにして待ち受けている。
 仕方なく屋上の駐車場に行ってみた。さすがに炎天下で駐車している車は少ない。
 これまでの木曜日とは様子が違う理由に私はやっと辿り着いた。節電のためにカーメーカーが土、日曜日を出勤し、その代わりに木、金曜日を今日から休日にしたからだ。ただ、いつもの土、日曜日なら多くの子どもたちを目にするのだが、ほとんど子どもの姿を見掛けない。
 午前中にこれほど混雑しているもう一つの理由が分かってきた。午後からは幼稚園やら小学校から子どもたちが帰ってくるので、両親たちは買い物を午前中に済ませなければならないのだ。
 これから3ヶ月、どんなライフスタイルになるのであろうか。
 そう言えば、10数年前にも同じように土、日曜日を出勤日として、ウィークデイを休日とした試みが行われたことがある。そのときの理由は料金体系を利用した電気料金の削減が主目的であったように思う。
 私のように自動車部品だけでなく、カレンダー通りの稼働日である冷熱製品や家電製品の製造会社を得意先としている者には、地獄の3か月であった。
 トヨタ自動車の地元である豊田市民からの要望で、こうした試みは1年間で終了したが、多少ノイローゼ気味になっていた私にとっては、カレダー通りの稼働日に戻るのは天にも昇る気持がしたものだ。
 愛知、岐阜、三重の3県で自動車関連で働く人の数は約55万人と言われる。それらの人たちが、一斉にこれから3か月の間、ライフスタイルを変えるとなると、その影響の度合いは計り知れない。新しい会社の方針で、今後いつ、リストラ対象になるかも知れない私たちにも、早出作業とか、定期的にやっていた二人作業の仕事とかに少なからず影響が出てくるものと思われる。
 買い物を済ませて、家の近くに来ると黄色い帽子を被った小学低学年の長い列が先生の誘導を受けて横断歩道を渡っていた。子どもたちの顔を見ると汗びっしょりで髪の毛の先端からしずくが落ちている。炎天下だけに熱中症にならないかと気になってくる。
 私も60年以上も前、小学校への同じ道を通っていた。だが、あの頃には日射病という言葉はあっても、熱中症という言葉はなかったように思う。道路がすべてアスファルトとなり、周囲にコンクリート製の建物が増えてきたせいなのであろうか。
 それにしても同じ帽子を被り、背丈も平均していて、私には個性が見えてこない。
 だが時折、点での記憶だが、幼い日のことが鮮明に思い出されることがある。その思い出の中に登場する子供たちは個性がないどころか、運動や勉強面、女の子に対する行動など、実にユニークである。
 そうか、高齢者となった私の目には均一のユニフォームに包まれている子どもたちは、特徴も個性もないと映るかも知れないが、子ども時代、当の私の目には周囲の仲間たちは実にユニークで個性的に映っていたのだ。だから、夢に登場するのだ。
 人間誰もが時代とともに生きている。
 そして、それは言葉を変えれば、個性的で自分だけの「時間」を背負って生きてきたと置き換えることもできる。人間は今現在という時間や近い未来はしっかり見据えることができるのに、昔のことはぼやけて見えて、しかも嫌な思いをすべて削り落とし、美しいもののみを残していく。そして、自分のメルヘンの世界を創っていく。
 そのメルヘンの世界は個性豊かな遊び仲間や同級生がいたからこそ、初めて構築できる世界とも言える。それこそが自分だけの「時間」を背負って生きている証左なのかも知れない。

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