血流がたぎって体中を駆け巡っていく
今日のアルバイト先での就業時間は午前8時から午後1時までであった。
私はこの7月で今のアルバイト先で仕事をするようになってから丸2年となるが、これまで5月31日が勤務日になっていなかったこともあって、今日がこれほど仰々しい<たな卸し日>であることを初めて知った。
今私たちグループがやっている仕事は市からの委託事業で、請負先である今の会社が3ヶ月に1度は自主的な帳簿上のチェックが行われているが、年に1度、5月31日には形式的なチェックだけでなく、帳簿と現物との照合が市の担当課立会いのもとで実施され、金額の照合は勿論のこと、事務用品や備品、機械のメンテナンス実施の日付や内容まで厳しくチェックされる。
従って、今日はいつもの日と違い、私のいる管理事務所には朝から人の出入りが激しい。従って、今日の私はノンビリとマイペースでの仕事ができず忙しかったが、その分、いつもとは異なる雰囲気と日頃私たちがマニュアルに従って作業してきたことの意味が分って、私はむしろ楽しかった。
聞くところによると5年前まで市のチェックはいい加減なもので、請負先の担当者が市の担当課にさまざまな費用の請求をしても無審査で認可されていたらしく、そのいい加減さの隙を突いて請負先の責任者と担当者が共謀し、実際に掛かった費用と市への請求費用との差額を別口座にプールして、私的な支出に流用していたとのことだ。
この事実が内部告発で暴露されたあと、請負先の責任者と担当者は私的流用の金額を市へ全額返納して、請負先の会社を即刻クビにされたということだ。
市の損失が全額補填されたこともあり、この事実は公にされることはなく、内々で処理されたらしい。つまり、無審査で認可していた市の職員の罪は未だに問われていないとのことだ。
現在、私たちが口うるさく守るように言われている就業マニュアルはこうした不正が出来ないようにダブルチェックどころか、トリプルチェックで管理されている。
そして、これまでの経緯を踏まえて、市はしがらみや腐れ縁をを断ち切るために真っ先に手を挙げた今の会社に随意契約で発注を決めたらしい。
市の担当課も請求された費用をいちいちチェックをして上司の認可を得るようにシステムを変更したために、緊急を要する費用が発生した場合にはなかなかタイムリーに認可が下りてこず、業務をスムーズに遂行させるためには請負先である会社が一旦肩代わりをしなければならない。時にはそうした緊急費用も認められないこともあるそうだ。
官の仕事にあたっては緊急度合いとか優先順序とかを考慮して即刻決断するという資質は必要ないようだ。つまり、自分の仕事の遅延によつて生じるデメリットがどれほど業務に支障をきたしているかを想像してみようとする気構えを官に携わる人は皆無と言ってもいいほど持ち合わせていない。
民間企業では考えられないことだ。タイムリーな決断がいかに大切かは民間企業に勤めたことがある人ならば、誰もが自明の理として当たり前のように認識している。
私が就業する日には、時折、今の会社で私たちグループを管理する課の人たちが私のいる事務所にやって来て、始めは言いにくそうにしているが、最後には言わずにはおれないという態度で愚痴をこぼしていく。
誰もが今のやり方に不満を持っているらしく、来年4月の市との契約改変時には随意契約で、或る決まった金額で丸投げされるのではなく、他の企業との一般入札で決めてほしいとか、私たちグループの仕事以外にも市からの幾つかの事業を委託されているが、その一つ一つの事業を検証して赤字の事業は撤退すべきだとか、色々な悩みをぶちまけていく。私をサラリーマンの先輩として、理解してもらえると思ってのことだろうか。
今の私は相槌を打つことぐらいしかできないが、不思議なことに、そうした現場サラリーマンの生々しい話を聞くと普段はゆっくりと流れている血流がたぎって体中を駆け巡っていくような錯覚に私は陥っていく。
そう言えば、踵が痛くて特別な装具を履いていたら、最近痛みを感じなくなり、昨日今日と装具を履かずに歩いてみてもまったく違和感を感じなくなった。そのことと昔のように血が騒ぎ出したのとは無関係ではなさそうだ。
私はこの7月で今のアルバイト先で仕事をするようになってから丸2年となるが、これまで5月31日が勤務日になっていなかったこともあって、今日がこれほど仰々しい<たな卸し日>であることを初めて知った。
今私たちグループがやっている仕事は市からの委託事業で、請負先である今の会社が3ヶ月に1度は自主的な帳簿上のチェックが行われているが、年に1度、5月31日には形式的なチェックだけでなく、帳簿と現物との照合が市の担当課立会いのもとで実施され、金額の照合は勿論のこと、事務用品や備品、機械のメンテナンス実施の日付や内容まで厳しくチェックされる。
従って、今日はいつもの日と違い、私のいる管理事務所には朝から人の出入りが激しい。従って、今日の私はノンビリとマイペースでの仕事ができず忙しかったが、その分、いつもとは異なる雰囲気と日頃私たちがマニュアルに従って作業してきたことの意味が分って、私はむしろ楽しかった。
聞くところによると5年前まで市のチェックはいい加減なもので、請負先の担当者が市の担当課にさまざまな費用の請求をしても無審査で認可されていたらしく、そのいい加減さの隙を突いて請負先の責任者と担当者が共謀し、実際に掛かった費用と市への請求費用との差額を別口座にプールして、私的な支出に流用していたとのことだ。
この事実が内部告発で暴露されたあと、請負先の責任者と担当者は私的流用の金額を市へ全額返納して、請負先の会社を即刻クビにされたということだ。
市の損失が全額補填されたこともあり、この事実は公にされることはなく、内々で処理されたらしい。つまり、無審査で認可していた市の職員の罪は未だに問われていないとのことだ。
現在、私たちが口うるさく守るように言われている就業マニュアルはこうした不正が出来ないようにダブルチェックどころか、トリプルチェックで管理されている。
そして、これまでの経緯を踏まえて、市はしがらみや腐れ縁をを断ち切るために真っ先に手を挙げた今の会社に随意契約で発注を決めたらしい。
市の担当課も請求された費用をいちいちチェックをして上司の認可を得るようにシステムを変更したために、緊急を要する費用が発生した場合にはなかなかタイムリーに認可が下りてこず、業務をスムーズに遂行させるためには請負先である会社が一旦肩代わりをしなければならない。時にはそうした緊急費用も認められないこともあるそうだ。
官の仕事にあたっては緊急度合いとか優先順序とかを考慮して即刻決断するという資質は必要ないようだ。つまり、自分の仕事の遅延によつて生じるデメリットがどれほど業務に支障をきたしているかを想像してみようとする気構えを官に携わる人は皆無と言ってもいいほど持ち合わせていない。
民間企業では考えられないことだ。タイムリーな決断がいかに大切かは民間企業に勤めたことがある人ならば、誰もが自明の理として当たり前のように認識している。
私が就業する日には、時折、今の会社で私たちグループを管理する課の人たちが私のいる事務所にやって来て、始めは言いにくそうにしているが、最後には言わずにはおれないという態度で愚痴をこぼしていく。
誰もが今のやり方に不満を持っているらしく、来年4月の市との契約改変時には随意契約で、或る決まった金額で丸投げされるのではなく、他の企業との一般入札で決めてほしいとか、私たちグループの仕事以外にも市からの幾つかの事業を委託されているが、その一つ一つの事業を検証して赤字の事業は撤退すべきだとか、色々な悩みをぶちまけていく。私をサラリーマンの先輩として、理解してもらえると思ってのことだろうか。
今の私は相槌を打つことぐらいしかできないが、不思議なことに、そうした現場サラリーマンの生々しい話を聞くと普段はゆっくりと流れている血流がたぎって体中を駆け巡っていくような錯覚に私は陥っていく。
そう言えば、踵が痛くて特別な装具を履いていたら、最近痛みを感じなくなり、昨日今日と装具を履かずに歩いてみてもまったく違和感を感じなくなった。そのことと昔のように血が騒ぎ出したのとは無関係ではなさそうだ。
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