半世紀以上前に出会った私の始めての女ともだち

 今日、イギリスの『The Times』誌のPhoto Galleryを見ていたら、緯度がこの地方よりも北にあるせいか、イングランドのナショナルパークでは、日本よりも一足も二足も早く、秋の訪れがやって来ているようだ。画像
 Photo Galleryを見る限り、イングランドの紅葉も日本に負けず劣らず、色とりどりの色彩で素晴らしい自然の景観を提供していて、地域の住民を楽しませているようにみえる。10月に入って日本もこれから、徐々に山々は木の葉が色づき、日ごと様変わりしていくのであろう。
 紅葉の時期というと、今や平成の大合併で愛知県豊田市に編入されてしまったが、私は何故か奥三河の足助町にある香嵐渓に行くことが多かった。
 私は、人には一度も語ったことがなかったが、私は足助の町を通り過ぎるたびに、小学校時代の一人の女の子を思い出す。
 私の小学校時代は手に負えないやんちゃ坊主で、いつも同級生の女の子をいじめたり、からかったりして、泣かすことが多く、女の子は誰も私に声を掛けてくれなかった。
 そんな小学4年生の1学期、一人の女子転校生が私のクラスに入ってきた。その女の子は背が高くて、同じように背が高く、後ろの席だった私の隣りの席に座ることになった。互いに初対面で、すぐには口をきくことはなかったが、あるとき、私がソフトボール部だということを告げると、何か思い切った様子で「練習を見に行ってもいい?」と聞いてきた。私はたちまち、カッと頭に血がのぼって、「練習を見たって、つまらないから・・・」と言ったきり、黙ってしまった。
 ソフトボール部は創部間もなくて、始めての公式戦の日、私はサードの守備につき、先生のノックを受けるときに、バックネット裏の土手のところに友だちと一緒に座っているスカート姿の彼女が偶然私の視界に入ってきた。
 途端に私は頭に血がのぼり、先生がノックするゴロはどうにかさばけるのだが、ホームバックの投球が定まらず、何度も暴投を繰り返してしまった。私が始めて女の子を意識した瞬間だった。
 その後、私は徐々に冷静さを取り戻し、彼女が来ているのが分ると知らず知らず気持が高ぶってきて、人一倍張り切ったものだ。
 私たちの学年は8クラスあったが、5年生も偶然彼女と一緒のクラスとなり、席も相変わらず隣り同士、そして彼女も欠かさず、私が出場するソフトボールの試合を見学しに来てくれた。
 もうすぐ3学期が終わるという頃、彼女が突然、私に向かって「お父さんの転勤で、4月から足助町に引っ越すから・・・。もう会えなくなるけど、きっと手紙書くから」と告げてきた。何か、お父さんの転勤が恨めしげに思われてきて、私はただ黙って、頷くことしかできなかった。
 あとから知ったことだが、彼女のお父さんは警察署長だったそうで、私たちが6年生になる春に、辞令で足助署長に転勤になったとのことであった。その後、何度か手紙をもらったが、私のやんちゃは止まるところを知らず、もはや返信するほどの気持のやさしさも高揚もなくなっていた。
 高校時代に一度、私の留守に彼女は私の家を訪ねてくれたようだ。いくら養母の話を聞いても、私はついに彼女だと思い付なかったが、随分とあとに何とはなしに小学校の卒業アルバムで、ある写真を見ていたときに、小学生の4年と5年のときに隣りの席で一緒だった彼女を思い出した。
 写真で見る限り、背が高いせいか、大人びていて、どちらかと言えば、ポーズ付けたがりのオスマシの子だったように思えてくる。
 今年も10月となり、足助から稲武、根羽村を抜けて、紅葉を観に行くであろうが、半世紀以上前に出会った私の始めての女ともだちのことをきっと思い出すであろう。 

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この記事へのコメント

2009年10月04日 07:21
秋は景色も憂いを帯びて
人恋しくなる季節
淡い初恋のお話ですね
issa
2009年10月05日 13:32
moumou.h53 さま、こんな昔話をする気にさせるのは、季節のせいでしょうか。それとも歳のせいでしょうか。
2009年10月09日 20:27
また、お邪魔します。
それは明らかに季節のせいです。
厳しい冬の前に収穫を繰り返し確認しているのです。
秋は質感のあるクオリアとして記憶されているため、
脳は過去の分まであなたに反芻させるのです。
ときに優しく、ときに残酷な仕打ちとなることもありますが....

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