人生は リセットボタンを押しても元通りにはならない

 昨日、私が少し早めに名古屋にある外国語学校I.C.NAGOYAに行くと、事務所でバッタリ、カナダ人英会話講師Brianに会った。教室に入って、15分ほど途切れ途切れではあるが、英語で必死に話をしようとしたが、悲しいかな、なかなか自分の頭の中が英語モードに切り換わらない。1年のブランクとは怖ろしいものだ。
 だが、一年前、二人の間にあった確かな意思疎通が、ぎこちない会話であっても、徐々に蘇えってきたのであろうか、私の変な言い回しでもBrianは充分に理解してくれる。
 Brianが、Rのあとにつづく長母音や二重母音をゆっくりと私に向かってしゃべってくると、波打つかのような揺れる響きが伝わってきて、いつもながら、私には何とも心地よく聞こえる。Brian独特のしゃべりである。
 Brianとは、一昨年12月のクリスマス会のときと去年3月のRobの送別会のときに、朝まで付き合って、いろいろプライベートに関することも話し合った仲でもあり、一年ぶりに会っても何の気兼ねもなく話し合える。やはり、今でも彼はナイスガイだ。
 聞くところによると、去年8月にカナダに帰り、教師のライセンスを取って、今はカナダの高校でCanadian Historyを教えているそうである。カナダでは6月から約3ヶ月間、高校は休みになるので、その休暇期間を利用して、今、日本に来ているとのことである。
 その間、I.C.NAGOYAだけでなく、他の学校へも出向いて教えている様子で、少々疲れ気味に見える。
 彼が最初に日本に来た目的は、大学で社会心理学を研究するためだった。このことは一昨年のクリスマス会のときに、酒を飲みながら、私が無理やり彼から聞きだした。
 その後、NOVAのスキャンダルで講師料が未払いとなり、大学での社会心理学研究は頓挫せざるを得なくなった。この話はまた、Robの送別会のときに、私が無理やり聞きだした。
 もう、彼はその夢を捨ててしまったのであろうか。
 カナダに帰り、高校で歴史を教えていると、私に告げたときの彼の満足そうな顔から想像すると、日本で社会心理学を研究するという夢を、彼はもう諦めてしまったような気がしてならない。
 それがいい、私は彼の顔を見ながら、そう思っていた。人間の生き方は、ネットでゲームをするように、これまでのことをすべてチャラにして、リセットするという訳にはいかない。
 私はサラリーマン時代、若い部下が失敗や過ちを犯したら、若いから、いつでも人生をリセットできると、その都度慰めたが、今から思えば、ずいぶんと無責任な慰めを言ったものだと悔やんでいる。何のアドバイスにもなっていない。いろんな選択肢があることを提示してあげるべきだった。
 人間の人生にリセットはない。大事なことは、そうした失敗や過ちをチャラにせず、そのことを肝に銘じて忘れずに、自分の意思で舵を切って、確実に人生の方向を転換する勇気を持つことだ。
 何もかも吹っ切れたようなBrianの素振りを見ていて、私はそんなことを考えていた。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック