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zoom RSS 父親の気持に寄り添えるのは 自分も娘の父親だからであろうか

<<   作成日時 : 2017/07/14 21:35   >>

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 昨日の勤務で、滝のように汗を搔いたせいか、午前10時を過ぎても体がだるくて、外出する気になかなかなれない。
画像 朝っぱなから、どうかと思ったが、小津安二郎監督の『彼岸花』のDVD録画を再生して観ていた。これで3度目となる。
 この作品に先立って、「晩春」と「麦秋」を観たが、この『彼岸花』も父親と嫁ぐ娘の関係を描いた作品である。
 だが、「晩春」では父親の意向に従って結婚する従順な娘が、そして「麦秋」では父や兄の意向に逆らってまで自分の気持ちを押し通し、子持ちの男に嫁いでいこうとする強い女性が描かれている。
 それに比べて、この『彼岸花』では、娘は親たちの知らない間に恋人を作り、親には相談をせずに、突然、相手の男性の訪問を受けて、父親ははじめて娘に恋人がいることを知る。しかし昔気質の父親は、そんなことは受け入れられない。そこで、父親は娘に対して激怒し、結婚式は出席しないと宣言する。
 この映画のメインストーリーはそんな父親の気持が徐々に変化していく過程を描いている。そして、友達の父娘の関係に感化されて、消極的ではあるが、結婚式に出席すると妻に告げる。そして結婚式を終えたあと、関西に出張したのを機会に、遠方に嫁いでいった娘のところに訪れようという気持が増幅してくる。次の日、駅には汽車に乗り込む父親の姿があり、やがて、ひたすら走る列車の遠ざかる画面が映し出される。予期せぬ父親の姿を前にして喜ぶ娘の姿が浮かぶようである。
 何と言っても『彼岸花』の特筆すべきは、小津作品としては初のカラー作品ということである
 父親役は前2作の笠智衆に代わって、佐分利信が演じている。
 佐分利信と言えば、私の子供の頃には、上原謙、佐野周二と並んで、「松竹三羽烏」と言われていたほどの二枚目である。
 すでにこの作品のときには3人とも初老になっていたが、この『彼岸花』のとき、佐分利信はまだ49歳だということである。どうみても、映画では60歳を超えているように見える。今年、私は73歳になるが、どうしても自分より、人生の先輩のような印象を受ける。それだけ、演技が重厚だということになるかも知れない。
 「晩春」の原作は廣津和郎「父と娘」であり、「麦秋」は常にコンビを組んでいる野田高梧と小津安二郎監督自身のオリジナル脚本である。また『彼岸花』の原作は白樺派の里見クだと載っているが、どうもすでに執筆されている原作とは、少し事情が違っているようである。
 その事情とは、『彼岸花』のあとがきで、里見ク自身が次のようなことを書いているからのようである。
 <ところが、それこそ「不思議な御縁」とでも言おうか、今年の正月、小津君から、私の原作を映画にしたい、との申し出があり、それならば旧作のあれこれを詮議するより、いっそ映画化されることを意識して、新たに一作を書きおろそうではないか、との相談が一決し、早速、小津、野田両君と三人で湯ケ原に滞在し、どうやらおほあらまし(概要)の筋が立って(中略)。
 もっとも、両君は両君で、初めからシナリオを作る気だし、私は私で、ほぼ似たような筋の小説を書けばいいので、正確な意味での合作とは言えないが。>
 つまり、原作と脚本は同時並行で創られていったということになる。ある本には、この『彼岸花』は小津のために里見クが原作を書き下ろしたとあることから、あとがきの内容に合致している。
 いずれにしても、明日にでも「おおぶ文化交流の杜 図書館」に行って、「彼岸花」とあとがきを読んでみようと思っている。
 なにしろ、この映画の出演者を見ると豪華である。
 有馬稲子、久我美子、山本富士子といった人気女優に加え、二枚目の佐田啓二や高橋貞二が出演しているし、山本富士子が演じる幸子の母・佐々木初役で浪花千栄子も出演している。
 この浪花千栄子と山本富士子の親子が話す関西弁が、いつもの小津作品とは異なるテンポを産み出しており、カラー作品とともに意外な新鮮味を醸し出している。
 娘を持つ父親の頑固さの不条理と、それ故に内に秘めた娘への愛情とが、押し付けがましさが排除されて、リアルに描かれている。
 そんなに頑固にならなくてもと思いながらも、父親の気持に寄り添えるのは、自分も娘の父親だからであろうか。

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